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第5回 パイプファンが不安なこれだけの理由

はじめに

日本の住宅は昔から“火に弱い”“地震に弱い”“冬寒い”という3大欠点がありました。このうち、いまだに解決していないのが“冬寒い”という断熱性能に関わる問題です。
この記事は、世界の住宅と設備を知っている日本輸入換気システム連盟のメンバーが、“寒くない家”のつくりかたを指南します。
この記事を要約すると−

  1. 1.日本の住宅は断熱・気密性能が遅れている
  2. 2.気密性能を高めると暖かく省エネになる
  3. 3.気密性能に見合った換気システムが必要
  4. 4.パイプファンは不安な設備

日本の住まいは機能が低い、住み手の関心も低い!

家の窓を開けて空気の入れ替えをする−。外の空気を取り入れることはとても心地よいひとときです。
日常のくらしの一コマですが、空気を入れ替えるまではどんな心地悪さがあったのでしょうか?
・家の中の臭いが気になる。
・息苦しい。
・湿気った感じがする。
・なんか空気が悪い。
・体がかゆい。

理由は様々ですが、窓を開けないと心地の悪い建物、なのかもしれません。

ではなぜ窓開けが必要な暮らしに変わったのでしょうか?
今から30年ほど前までは、夏には常に窓を開けて過ごし、冬はできるだけ窓を閉めて過ごす時代がありました。
しかし、防犯面の不安や外の騒音がひどくてテレビも聞こえないといった暮らしの問題、窓から侵入してくる小バエや花粉によって引き起こされる健康被害などから、常時開放することは現実的でなくなってきました。

本来、住宅は暑さや寒さ、強風といった外気を遮断した心地よい空間を創造するための手段(大きな器)ですが、日本は歴史・風土の面から住宅のこういった機能面の改善が遅れているほか、欧米と比べ現在でも住む側や建築事業者に心地よい空間をつくるという意識が低いことが指摘されています。

日本の常識は世界の非常識!

地球上でこの数十年間で起きている気象変化やCO2削減の機運、騒音など住環境変化に対応する技術開発が進むことで、住宅性能はどんどん高くなっています。世界の進化のスピードは速く、日本の住宅性能は同じ先進諸国と比較すると置き去りにされた現状があります。

日本は自動車、船舶といった製造業、IT、化学技術といった技術面で世界の先端にあるのに対して、住宅の機能・性能レベルは決して高いとはいえません。そもそも「住宅性能」という言葉があまり知られていません。
なかでも断熱性能、特に気密性能に関しての意識は非常に低いことは知られざる事実です。
気密性能が重視されないことで日本の住宅にとってどんな弊害があるかをまとめてみました。

  1. とにかく寒い・暑い。特に風が強くなったり、室内と屋外の温度差が大きくなると、ひどく寒い、夏は暑い。つまり、家にいても屋外の天気に左右される。
  2. 住宅内の臭いがなくならない、人の呼吸によって排出されるCO2濃度が下がらない。これら汚染物質の排出もけっきょく屋外の風速や気温次第で、風が強ければ臭いはなくなるが寒くなる、あるいは暑くなる。
  3. 壁の中やタンスの裏に結露が発生し、家の耐久性が低下するほか、カビ・ダニがぜんそくやアトピーなどの症状を悪化させる。
  4. 夏は2階の部屋が暑くて寝られない、冬は1階のフロアが寒くて座れないなど生活スペースに支障がある。

住宅は外気に影響されずに内部を一定の環境にすることが目的なのに、外の天候によって住環境が変わるのが当たり前、天気次第の家にあまり問題意識もないことが、じつはいちばんの問題です。

重要な住宅の気密性能

気密性能が悪いと家の中が天気次第になってしまうのはなぜか。それを科学的に説明するのが表-1です。
この表は、気密性能(相当隙間面積)が悪くなると(数字が大きくなると)室内と屋外の温度差によって、家の空気と外気がどんどん入れ替わってしまうことを表しています。

気密性能を現す相当隙間面積のことを「C値」とも呼びます。C値は住宅の床面積(1m2)あたりどのくらいの穴(単位cm2)が開いているかを示しています。例えばC値=5で35坪の住宅であれば5×35×3.24=567cm2、およそA4判の紙1枚分の穴が開いていると同じことになります。

表-1は温度差による影響だけをみたものですが、これに風速が加わるとその2倍以上の自然換気回数になります。


表-1 出典「気密住宅の換気設計ガイドブック!」

表-2 出典:「住宅の新省エネルギー基準と指針」より

家が寒いのは気密性が悪いから

表-1,2からわかる通り、気密性が悪いと自然換気回数が増え、冷暖房費用がかかる、冷暖房しているのに2階が暑い、1階が寒いということになります。

気密性能が悪いために必要になる暖房器具を表2から計算してみました。35坪の東京の家で、0.5回/時の自然換気が起きている場合(C値5で風速2.5m/秒など)、逃げる空気の分だけで1000Wもの電気暖房器が必要になります。
これを電気代に置き換えると1ヵ月15,000円以上!!
こんな電気代は払えないので、多くの人は寒さを我慢しているはずです。

また、C値が大きいと建築基準法で定める機械換気による換気計画がうまくいかないという別の大きな問題もあります。

次に詳しく説明しますが、3種換気においては本来、外気を導入するための給気口から外気が入らず壁の隙間から給気してしまうので、住宅全体の換気の効率が低下します。そこで給気口もファンで外気を送り込む1種換気にするなどの対策が必要になります。

理想的な換気システムと、意味のない換気システム

建築基準法で定める機械換気による換気方式は、第1種、2種、3種がありますが、その中でもいくつかのポイントがあります。今回はその中でファンの形状に関してお話をします。

図-2

ナスラックHPより 表-3

ファン形状によって性能は大違い!

ファンの種類は形状によってその特性が異なります。主な特徴は表-3の通りです。この中で特に留意しなければならないのが、ファンの特性です。特にパイプファンとシロッコファンの能力の違いです。
換気ファンの能力を表すためにもっともよく使われるグラフとしてP−Q曲線グラフがあります。横軸が風量、縦軸に静圧(ダクトが長くなるとか向かい風受けると数値が大きくなります)をとり、どのくらいの静圧がかかると風量がいくつになるか、を表すのです。

比較してみるとその能力差は歴然です。
パイプファンは風が強くなると(静圧が大きくなる)極端に換気量が低下しますが、ターボファンは、ある一定のレベルまで換気量の低下はありません。

図3のパイプファンは静圧10パスカル以下で換気量が半分に低下しますが、図4のターボファンは一ケタ多い150パスカルの圧力がかかっても換気量は変わりません。


パイプファンの性能曲線 (無風で機器が新品時) 図-3


ターボファンの性能曲線 (無風で機器が新品時) 図-4

専門的になりますが、風などでどのくらい静圧が増えるかをまとめました。

  • ・屋外の風速→無風時は0Pa、3m/s時は4.5Pa、6m/s時は18Pa。
  • ・フィルター→フィルターの静圧が約10%増加。
  • ・ファンの埃等の付着による負荷の増大→性能が10%ダウン。


大都市比較統計年表(平成12年) 表-4

表-4は全国の平均風速を表したものです。1年を通しての平均は最高で千葉市の4.3m/sですが、例えば仙台市の冬場の1日の風速の変化を表したのが図-5 です。風速は常に変化し、その時々に住宅の換気量は影響を受けることになります。


図-5

風が強いのに換気しない!?

パイプファン方式はホコリがたまればすぐに換気量が落ちるため、よりこまめな清掃が必要なことがわかります。もちろん、向かい風が吹き付ければ換気量はさらに減ります。価格が安く、多くの住宅に設置されているパイプファンですが、キレイな空気を得るにはファン能力がかなり不安定だということがわかります。


パイプファンの性能曲線      風量変動範囲  図-6


ターボファンの性能曲線      風量変動範囲  図-7


表-6

空気が悪くなったら空気清浄機を使えば良い、消臭・芳香剤を使えばいいという人も多いと思います。
空気清浄機などでも特定の汚染物質を除去することが出来ますが、全部を除去することは出来ません。また、清浄能力が限られているので、6畳の部屋だけなら良くても家全体や1階のLDK全部となると効果が低くなってしまいます。

空気質を保つために

計画的な24時間換気を行うためにはどんな条件が必要かをまとめます−

  1. 住宅の気密性能を高め、C値を把握すること。
  2. その性能にあった換気の種類を選択すること。
  3. パイプファン方式の不安が解消しないのであれば採用しない。
  4. フィルター等の手入れがしやすいシステムを設置すること。

 

さらに使用者側においては正しい使用方法で定期的なお手入れを実施することも付け加えておきます。
換気が確実に行われていることを確認する方法としては、風量測定を有償でも依頼すること。
使用後の確認をする方法としてはCO2センサーを設置し、自らの住宅の空気質をチェックするなどの方法があります。価格も以前よりも安くなっているので、手軽に購入できる商品も登場しています。

たかが換気と思われる方も多いかと思いますが、住宅内の空気質の維持はとても繊細で重要な存在であることを理解し、皆さんが居心地のよい住環境で過ごされることを希望します。

 



日本輸入換気システム連盟

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