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第7回 第1種熱交換換気に求められる気密はC値0.5以上

はじめに−本当の熱交換効果を多くの人は知らない

給気も排気もファンを使う第1種換気はほとんどが熱回収機能を持っており、第1種熱交換換気と呼ばれます。排気空気が持つ暖房熱を給気に受け渡すので、給気が暖かくなり、その上省エネに貢献するので、このところ注目が高まっています。しかし、それは建物の気密性が極めて高い場合、という条件がつきます。熱回収と建物の気密性がどう関係しているのか、以下の項目に従って説明しましょう。

  1. 建物の高気密化は必要不可欠
  2. いま第1種熱交換換気が注目されている
  3. 第1種換気の採用に当たっての大前提は気密性が高いこと
  4. 第1種換気に求められる気密レベルとは?
  5. 第3種換気に求められる気密レベルは低い

1.建物の高気密化は必要不可欠


写真:気密化のための先張りシート

建物の気密化は、省エネ化を図る上で、断熱性能と同様に極めて重要となります。また建物の気密化は、室内の空気環境を快適に保つために必要な換気量の確保と、換気の効率を高めるためにとても重要な換気経路をしっかり確保する上で必要不可欠なものとなります。

残念ながら、いまだに高気密住宅という言葉を、「ビニールに囲まれた息苦しい住宅」というイメージに捉え、中気密住宅が良いと考えている人も多いようです。しかし低気密・中気密住宅では、室内外の空気が隙間を通して自由に出入りし、室内の換気量が多すぎたり不足したりして、極めて不安定な曖昧換気となります。これでは、室内の空気質を良好に保つのに必要な換気回数0.5回/hを実現することはできません。ですから、建物の高気密化は、住宅の省エネと快適な室内の空気環境をつくる上で欠かせないのです。

2.いま第1種熱交換換気が注目されている

2020年からの省エネ基準の適用義務化、そして2030年を目標としている新築住宅でのゼロエネルギーハウス(通称ZEH)の実現へ向けて、今後は一段と住宅の省エネ化が進むと考えられます。
気密レベルがC値1.0以下となる住宅では、換気による熱損失が建物全体の熱損失の30%程度になります。そのために、今後換気によって捨てられる熱を回収する第1種熱交換換気への期待が当然ながら増していくものと思われます。
その一方で第1種熱交換換気に対しては、本当に省エネなのか、全熱型と顕熱型のどちらが優れているのか、計画通りの換気が実現されているのかなどの疑問を多くの人が抱いているのも事実です。これらの問題を払拭しなければ、今後第1種換気の大きな飛躍はないと言えます。

3.第1種換気の採用に当たっての大前提は気密性が高いこと


写真:気密性能は気密測定によって確かめる

換気設備の種類を問わず、計画換気を行う上では、住宅の気密化は、言うまでもなく、必要不可欠の条件となります。とくに第1種換気では、気密レベルが低いと外部風速や室内外の温度差による自然換気よって漏気が生じ、熱回収と言う本来の性能を著しく低下させることになります。
残念ながら、第1種熱交換換気の採用者の中には、住宅の気密レベルが熱回収量にどのような係わりを持つものかの理解が不十分なまま、単に換気による熱損失の大部分は回収されるものと考えている人も多くいます。第1種換気の熱回収という機能を有効に発揮させるには、建物の気密レベルをうんと高めることが大前提となります。

4.第1種換気に求められる気密レベルとは?

それでは、第1種換気の持つ熱回収機能を最も有効に活用できる気密レベルは、どの程度のものなのかを説明します。
換気に基づく熱損失は、言うまでもなく、換気量が多くなればなるほど大きくなります。いま、必要換気量(第1種換気システムによる換気量)をQ(m3/h)とし、風力並びに温度差によって生じる建物の隙間からの漏気量をq((m3/h)とすると、建物に生じるトータルの換気量QTは、以下に示すものとなります。

         QT(全換気量)=Q(熱交換器による換気量)+q(漏気量)

ここで漏気量qがゼロならば、換気は熱交換器のみで行われ、最も有効に熱回収が行われます。もしも漏気量qが、熱交換器による換気量Qと同程度ならば、熱回収量は漏気量qがゼロの場合に比べて1/2以下になります。さらに漏気量が2倍となると、熱回収量は1/3以下となります。
このように、第1種換気の本来の役割である熱回収能力を最大に発揮させるには、漏気量qをゼロにしなければなりません。言い替えますと、漏気量qがゼロとなる気密レベルを有する建物を実現することで、初めて換気による損失熱エネルギーを最小することができる事になります。
図1は、「住宅の新省エネルギー基準と指針」に記載されている資料に基づいて評価した外部風速に基づいて生じる換気回数n(漏気回数)と気密レベル(隙間相当面積=C値)との関係を示したものです。当然ながら、換気システムの稼働の有無によって室内圧が異なります。そのために、漏気に基づく換気回数は違ったものとなります。図1に示すものは、換気システムが無稼働時におけるものです。


 図1 風圧力に基づく換気回数 n

当然ながら、風力に基づく換気回数は、風速および建物の立地条件によって異なります。図1は、平均風速が6m/sと2.5m/s、立地条件は周囲の建物の影響を受けない単独立地と、影響を受ける隣接立地の場合をそれぞれ示したものです。また図1に示す結果は、シミュレーション計算等の厳密な方法に基づいて評価されたものではないことから、ある程度の許容誤差を持っています。ここで、風力に基づく換気回数nを必要換気回数Nの10%(0.05回/h)を限界許容範囲とすると、第1種換気に求められる気密レベルは、表1に示すものとなります。

外部風速 立地条件 許容される気密レベル
(C値)
6m/s 単独 0.2
6m/s 隣接 0.6
2.5m/s 単独 0.5
2.5m/s 隣接 0.8

  表1 第1種換気に求められる気密レベル

表1に示すように、平均風速2.5m/sと比較的小さな地域においても、第1種換気に求められる気密レベルはC値0.5となります。さらに平均風速が6m/sと大きな地域においては、0.2とかなり高いものとなります。  
また知っての通り、建物に発生する漏気は、室内外の温度差によっても発生します。図2は、室内外の温度差によって発生する換気回数nを示したものです。図2に示すものも同じく、「住宅の新省エネルギー基準と指針」の資料に基づいて評価されたものです。この結果から分かるように、例えば気密レベルがC値1.0とかなり高い建物においても、室内外の温度差が30℃では、換気回数で0.1回/h分の漏気が生じます。これに風力に基づく換気回数を加えると、トータル的にはかなり大きな自然換気が発生する事になります。
ただ表1に示す風力に基づく換気回数がほぼゼロとなる気密レベルでは、図2に示すように温度差による換気はほぼ発生しないことから、気密レベルと漏気量の関係の評価に当たっては、風力換気のみに注目して行っても良いことになります。

5.第3種換気に求められる気密レベルは低い

第3種換気においても、室内の全換気量が0.5回/hとなる気密レベルは当然あります。ただ第3種換気に求められる漏気がゼロとなる気密レベルは、第1種換気のそれに較べてかなり低いものとなります。それは、つぎの理由によります。
図3は、第1種換気と第3種換気の稼働時での発生する室内圧Pi の大きさを示したものです。第1種換気の場合には、給気経路と排気経路の圧損がほぼバランスすることから、室内圧Pi はほぼゼロとなります。その結果、漏気が生じる気密レベルは、図1および図2に示す換気システムの無稼働時の場合とほぼ同じものとなります。
それに対して第3種換気では、室内に生じる負圧と建物の外側面および風下側の外面に生じる負圧とがお互いに引き合う形でバランスするために、室内外の圧力差に基づく漏気量は大幅に減少することになります。その結果、第3種換気での漏気量がゼロとなる気密レベルは、第1種換気に較べてかなり低いものとなります。具体的には、第3種換気で漏気量がゼロとなる気密レベルは、外部風速が2.5m/sではC値1.5程度であり、第1種換気の場合の0.5に較べて、かなり低いものとなります。


 (a) 第1種換気


 (b) 第3種換気
 図3 換気システムを稼働させた場合に発生する室内圧Pi

 



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